『仮面ライダー平成ライダージェネレーションズFOREVER』を公開初日の初回を予約した直後に、隠れ特撮オタクにとって危機的事態が訪れた。
職場の同僚
「いや~今度公開するライダーの映画、初日の初回の時間に予約したんですよ」
その同僚は特撮が好きでして。何より厄介なのが、口が軽いこと。ただでさえ、オープンで特撮好きと公言している。それに加えて、なんというか、正の方向に向いていないというか、もう察してください…
僕(えっ?!…内心祈るばかり)
「同僚さん、好きですもんね〜。ちなみにどこで見る予定なんですか?」
同僚
「どこって、あそこ(僕予約した映画館)一択だよね」
終わった。
仮面ライダーや戦隊の積み上げてきた技術や表現、シン・ゴジラをはじめとした大人向けの入口はあるものの、特撮好きのオタクたちが未だに市民権を完全に得たとは言いにくい。
許されるのは、周囲の理解や子どもと見に行くという免罪符が必要だ。
アニメ『SSSS.GRIDMAN』でのキャラクターの一人、内海という特撮オタクがいる。
彼は、自分が特撮好きとバレないように言葉を選ぶ。それは、特撮好きだとバレたときのことを想像するだけで、隠し通す側としては傷を抉られるものだからだ。
Ryo(りょう) さんの記事で詳しく内海のことについて、よりわかりみが深くなります。
プライベートな関係であるならまだいいと思っているが、社会での多様な人たちがいる中「特撮好きです」と発言するのは、少なくとも僕は「死」だと考えている。
今回僕の予想出来なかったこともあるが、『仮面ライダー平成ライダージェネレーションズFOREVER』の隠している雰囲気は初日初回に行かなけば行けない。そんな予感を当時感じていた。これがネタバレ回避をすることに功を奏したのは別のお話。
何よりバレてはいけない。
大きい物事を進めるには、まず細分化することと計画することが大切。
まず、相手を知ること。
勘付かれないよう、業務の合間に最低限どのあたりの席を予約したのかは知りたかった。最悪のパターンが、僕の隣の席だと死が免れない。このような状況の場合は、泣く泣く諦めるしかないと考えていた。
僕
「映画って毎回どこに座るか迷うんですよね。そういえば、今度週末に見に行く映画だとどの辺りに座るんですか?」
ノれ。ノれっ!お願い、ノってください。もう映画館のどこに座るかは、5列目か6列目のマイベストシート(勝手にそう呼んでる)と決まっているから、君の席を教えてくれ!
同僚
「やっぱり右側の一番後ろだよね。なんかしっくりくる。」
ありがとう。だいぶ離れてた。少し安心。これで計画が立てられる。
そして、上映当日。
さぁ、変身という名の『変装』を始めようか。
まず、服装は私服なので、スーツのイメージとは異なる。さらに普段メガネをかけないため、メガネをかけて別人感を増す。そこにマスクと帽子を装着。
特撮オタク身バレ絶対防ぐアーマーの誕生である。
いざ、会場へ。
怪しまれないかつ迷いのない足取りで映画館に向かう。
映画館に着く時間は、リスクを避けるために上映開始の3分前。
相手よりも先に劇場に入り、隠れる作戦も考えたが、劇場では自分の席を探すため、入場後は辺りに目を配る。それでは、バレてしまうのではないかと。
ならいっそのこと、上映ギリギリに入場すれば、相手は劇場予告に気を取られ、入場者を気にしないのではと考えた。だが、これはイチかバチかだった。そもそも相手もギリギリで入場したら、遭遇する可能性もあったからだ。
だが、こちらの可能性が高いと判断し、かけるしかなかった。
できる限り滞在時間を短くする。見慣れた映画館が、今日は敵の本拠地のような居心地の悪さ。しかしこれは特撮の世界ではなく、現実だ。改めてだが、完全隠密ミッション。バレたら死ぬ(社会的に)
チケット発券をし、上映1分前。入場…!
奴の言葉を信じ、いるであろう場所には確認をしなかった。気にかけたのは、右斜め後ろから横顔が見られないよう細心の注意をするのみ。心臓の鼓動が早い。この鼓動は焦りなのか、作品に対してのワクワクなのか。
上映開始。
僕らの仮面ライダーがここにいた。泣くしかなかった。ありがとう、仮面ライダー。
本編感想はこちらに
だが、感傷に浸りすぎるのはよくない。ここは映画館の劇場であり、いつ殺されてもおかしくない状況にいることを忘れてはならなかった。
ここでも正直とても迷いました。
先に劇場を出ることによって、この環境からいち早く抜け出すのか。
それとも、相手が出るのを待ち、ある程度の安全を確保してから抜け出すのか。
ここで、運が味方をする。
同僚が一目散に劇場から抜け出した!!
一方的にこちらだけが、位置情報を知った!!
内心、YAHOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!
ダメだ、油断したら。
HUNTER×HUNTERのハンター試験のプレート争奪戦で学んだはず。
相手が獲物を捕らえる瞬間!!そこに油断が生まれることを。
このままだと僕はヒソカに…!
劇場グッズ売り場に並んでいるのを確認し、帽子を目深にかぶりつつ映画館を出る。
ひとまず、最大の山場は乗り越えた。
しかし、本当に僕はバレていないのだろうか。その一抹の不安が心に残った。
そう、遠足は帰るまでが遠足。
特撮オタクが職場の同僚にバレないようにライダー映画を見ることも同じだ。
週明けの仕事の日に、それとなく聞き、何事もなければミッションコンプリート。
それによりピリオドを打てる。
よし、油断せずにいこう。
週明けの同僚
「この前話した仮面ライダーの映画見たんですよ!そしたら、めっちゃ感動して!○○○○出て、○○○○や○○○○も当時の○○○○も出て、また見に行くかもしれないんですよ!!」
僕
「良かったですね!!!!また見に行きたくなるなんてすごい映画なんですね!」
ミッションコンプリート…
全く話題にすら出てこない。しかし、物語の根幹に関する情報を公言するのは止めてくれ。もし、職場に僕以外の隠れ特撮オタクがいたとしたら、同じ気持ちのはず…
ひとまず、隠れ特撮オタクが職場の同僚にバレないようライダー映画を見る物語にはピリオドが打てた。今度からは、違う映画館にするしかないと誓った。
すっかり、情報公開から忘れてましたが、来年から、隠れ特撮オタクが主人公の漫画『トクサツガガガ』がドラマ開始するの忘れてました。
ちょっと前に漫画喫茶で10巻までは読んでいて、特撮オタクに限らず、世知辛いオタクの日常が表れていて、同情と共感が止まらない。
ドラマ10『トクサツガガガ』
【放送予定】
2019年1月18日(金)スタート
総合 毎週金曜よる10時から10時44分(連続7回)