前半はネタバレなし感想。前半部であっても可能であれば鑑賞後をおすすめします。
後半は本作の根幹に関わる内容を記載しております。その際にはその明記を再度致します。ご注意して、見ていただけると幸いです。
また、公共の場ではなく、プライベート空間で見ることを推奨します。もし今あなたのスマホの画面を誰かが意図せず見てしまったら、マーベル映画を楽しむ人の悲しみを生んでしまうからです。
だって、あなたもアベンジャーズなのだから。
終わった。いや、終わってしまったという事実を突きつけられた『アベンジャーズ / エンドゲーム』。10年を越える期間で紡いできた物語にピリオドが僕たちの心に打たれた。
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)を好きでいて良かったと胸が張り裂けそうになります。「心から最高だ」と言える映画ができたのが嬉しいです。財布の紐が緩み、パンフレットを購入して、2回目に行く予定はなかったのに、2回目の予定が立ってしまった。
そして、一つの「映画」として喜怒哀楽を感じ、先が読めない驚きの連続が素晴らしい点だと考えています。
そもそも、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)は集合作品であるアベンジャーズをはじめ、異なる作品が相互的に関わり合うというパイオニア的な立ち位置にいる。
シリーズものでない、映像作品が枠を超えてコラボするなど僕が知る限りでは知らなかった。見れば見るほど雪だるま式に楽しみが大きくなる前代未聞をMCUは成し遂げ、世界中に多くのファンを作ることができた。
しかし一見さんお断りという、見てない人は置いてきぼりになるという現象もあるはずだ。20作品を越える作品が複雑に絡み合う作品を初見で見ようすると壁が高く見える。実際に僕の友人は、あまりにも作品が多くて、敷居が高すぎる感覚を持つと言っていた。
前作インフィニティウォーの作りは、初見でも大枠を楽しめ、先が読めない展開だった。エンドゲームは前作を進化させ、知らない人でも、喜びに拳を握ったり、多くのことに心を震わせ、驚きの連続を見せてくれる。
もちろん、前作の一部を絞り、見に行くと楽しさが増すことには変わりはない。この記事に『インフィニティ・ウォー』を追加して予習するのがおすすめです。
未見にとっては、驚きとハラハラ、喜怒哀楽を味わさせてくれる「最高の映画」という感想を抱かせるだろう。知らない人でも、昨今のSNSやネットでの大量消費情報社会の中でも、消えない素晴らしい体験をさせてくれる作りになっている。
MCUを追いかけてきた人にとっては、上述に加えて、今までの作品の要素を感じる度に楽しみが連鎖的に膨れ上がる「あなたにとって、あなただけの最高の映画」になるはずだ。積み上げたそのものを楽しさとしてMCUの歴史=僕らの見てきた思い出をぶつけてくるというこれまでにないものだろう。
同時に「ありがとう。これからもよろしく」という感謝が止まらない。
泣きながら笑って、振り返ると目に涙を溜めてしまうほどに、様々な感情が心から溢れ出す。
これ以降本作の内容について、記載しますのでご注意ください。ご注意ください。未見の方はブラウザバックをお願いします。
つながりと変化というテーマ
なぜ、GotG(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)として、語る必要を感じたのか。それは今作のテーマの一つとして、つながりが様々な角度から絡み合い、一つの家族というチームが一つになったと感じたからだ。
また今までのキャラクターが数々の経験を通じ、変化することがもう一つのテーマだと考えました。
今回のエンドゲームは、ホークアイの目の前で家族が消滅するというインフィニティウォーの惨劇から幕が上がる。特にアベンジャーズの中で家族がいるということが珍しいホークアイだからこそ、変わらざるを得なかった。それはホークアイ以外の全メンバーにいえることで、生命だけでなく、その人のつながりまでもが消滅してしまった。
そして、つながりは残された者に変化を及ぼした。
レーニンとして闇組織を惨殺することで現実を否定したり、現実を受け入れ前に進むトニーや様々な姿が描かれた。アントマンというタイムジャンプ?をきっかけに、再び取り戻すためのアベンジ(復讐)の多種多様な要素が複雑に絡まっているところに面白さがある。前述した通り、11年21作品のあらゆる要素が詰め込んでいるために、その人の思いや追いかけてきた熱意によって作品の濃く見える部分が異なるだろう。
GotG(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)目線とは
前作の『アベンジャーズ / インフィニティウォー』では、サノスが宇宙に調和をもたらすため、全生命を1/2にするというあまりにも極端な目的を掲げ行動していた。もちろん、それを防ごうとしたアベンジャーズは対立したが、それぞれの覚悟やメンバーが一枚岩でないことに加えて、サノスが主役と言っても過言ではないほどに心身共に強く描かれていた。
その中でも、口が悪く孤独を隠すロケットの目の前でグルートが消えてしまった。さらにはガーディアンズオブギャラクシーメンバーの生き残りがロケットと敵対しているネビュラのみとなってしまった。
くそったれガーディアンズオブギャラクシーのメンバーは何かを失っている者の集まりだ。心に穴が空いていた。一番そのことについて敏感なのがロケットだと考えています。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』では、ピーターに親がいると分かるとすねて、孤独を隠すようにピーターを救うロケットを、ヨンドゥに見抜かれ、動揺していた。ヨンドゥが亡くなり、彼を認める華々しい葬儀にロケットは涙が一筋流れるラストカットで幕を閉じている。そんな彼は孤独であるが故、何かを失うことにとても臆病なのだ。だからこそ魅了的に映る。
ガーディアンズオブギャラクシーのメンバーというよりも敵対しているガモーラの妹であるネビュラは生き残っている。ネビュラは敵対こそしているものも、変わりたかった。何かを破壊するために従うのでなく、親友や家族になりたかった。その片鱗は『Vol.2』でも表れている。
そう、変わりたかった。
エンドゲームでは一度サノスの首を落としてから、5年の月日はネビュラを変えさせるには十分だった。この変わるというのはネビュラやロケットはじめ、登場人物の全員といっても過言ではないないほどに、変化しなければならなかった。特にネビュラやロケットは家族ともいえる仲間を失い、作中でも大きく変化したキャラクターだと思っています。
GotG視点=変化や家族という視点として、エンドゲームについて感想を書いていきます。本来タイトルに入れたかった部分もあるのですが、ネタバレを避けるためにも、僕としてはこのタイトルしかなかった。

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残った人の悲しみの共有
インフィニティウォーから22日が経過した。
惑星タイタンの戦闘からピーター・クイルらが乗船していたベネター号を使い、宇宙空間に避難したトニーとネビュラ。反対に地球では、キャップらの初期アベンジャーズに加入したロケット。地球側では、消滅した人の有無を調査していた。もちろん、タイタン星での戦闘を知らないために、地球側では消滅したものと考えていたはずだろう。
トニーとネビュラは、船の資源もつき、生きる希望の光が見えない中、キャップテン・マーベルが救助にくる。(恐らく、ニック・フューリーが消えかける前の救難信号で地球に向かう際に発見した。)
当初ミラノ号だと思っていましたが、ありがたいことに親切な方が教えて頂いたため、トニーとネビュラが乗船していたのが、ベネター号ということが判明しました。
They're not on a quinjet... #WhateverItTakes pic.twitter.com/ZWh3EzGbgI
— Jeremy Conrad (@ManaByte) March 17, 2019
そして、マーベルの助けもあり、地球のアベンジャーズ基地に帰還することができた。
その時互いに、消滅してしまったと思っていた人が目の前に現れたのだ。嬉しいけれど、悲しみが大きすぎた。特に息子のようにも弟子のようにも思っていたピーターが目の前で消え去ってしまったトニーは、自分のことよりもピーターを失ったことを伝えていた。もちろん、妻のペッパーや仲直りと仲違い中のキャップと再会できた喜びで一時の安心を感じたのも確かだろう。ここでやっといがみ合っていた二人が再開したことに加えて、ミラノ号の中で妻のペッパーに別れのメッセージを残していた場面を見ていた故に、ペッパーが消えてないことと再会のシーンは涙が止まらない。
個人としては、ロケットとネビュラが手をつないで悲しみを分かち合ったシーンは泣くしかなかった。ロケットとネビュラはかつて対立していた。加えて家族や仲間と言えるような関係ではなかったはずだ。
しかし、今互いに知っているのは二人だけになってしまった。互いにピーターや姉のガモーラ、グルート、ドラックスがいないということに言葉を発することなく、気づいた。いや、その事実を互いが言いたくなかった。また悲しみだけが深くなるから。だからこそ、二人は手をつなぎ、共有することしかできなかったのだと考察しました。
5年という月日の変化
その後、あっという間にインフィニティストーンをこの世界からなくしたサノスの首を落とし、5年の月日が流れた。
キャプテンアメリカ
スティーブ・ロジャースはかつて自分が長いこと氷漬けにされた経験を活かし、生き残った人達のメンタルカウンセラーの日々を。
ハルク
ブルース・バナーは、ブルースの肉体とバナーの思考を融合させ、日常生活を過ごしていた。エイジ・オブ・ウルトロンでは、考えられないぐらいに、生き残った人達が握手や写真を求める程に生活に慣れ親しんでいた。写真撮影の際に『Say Green!』はじめ、コメディ色が強かったし、劇場でも笑いが止まらなかった。
ブラック・ウィドウ
ナターシャ・ロマノフは、生き残った人達の生活を維持するためにも以前から行っていた防衛活動の指揮をとっていた。
ホークアイ(ローニン)
クリント・バートンは、目の前で家族を失い、現実を受け止めきれず、マフィアをはじめとした闇組織を惨殺することで悲しみを忘れようと行動していた。この行動はホークアイでなく、ローニンと呼ばれる。
ソー
雷神ソーは現実逃避をするために前の見た目からは分からないほどに、ビール腹のアルコール依存症と化していた。ソーは悪夢よりも酷いフィンガースナップ以前から、あっという間に父や弟のソーが命を落とし、自分が王で守らなければいけなかったアスガルドの土地とそれ以上に大切な一部の民の命をも守り切れなかった。さらには、その敵討ちのために、サノスを倒そうとするも、一度目は敗北し、二度目は首を落としたが、それはただ個人として、抵抗がない相手の首をはね落としたというアスガルドの王として相応しいのかどうかという苦難にも苛まれていた。ソーだけは悲しみの連続のそのスパンが短すぎた。
アイアンマン
トニー・スタークはというと、森の中にある家で妻のペッパーとその間にできた娘モーガンの3人で暮らしていた。多くの人々が家族を失う中で、新たな家族が増え、未来に生きていた。
惨劇をアベンジする鍵はアントマン
『アントマン&ワスプ』のラストにアントマンことスコット・ラングが量子世界への実験中に、インフィニティウォーの惨劇が発生した。しかし、量子世界にいたこともあってか生存していた。
(ここはアントマンが1/2の存続側にいたかは不明です)
あるネズミのおかげで、インフィニティウォーの惨劇があった世界に帰ることができた。
このネズミが1400万605通りの可能性の一つだったかもしれない要素だったの笑うしかない
【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』すべては◯◯◯から始まった ─ 1400万通りの未来にあった◯◯◯の奇跡 | THE RIVER
いわゆるタイムマシンを作成する技術力が必要だったために、スコット、ウィドウ、キャップでスタークを訪れるが新しい家族を巻き込む可能性があるために拒否をする。
これすごい共感できます。5年も経過した後に可能性が高いとも言えない作戦で、新しい家族を巻き込むかもしれないなんて、否定して当然だ。アントマンの娘は生き残っていたけれど、新しい恋人、未来では妻になるかもしれないワスプことホープ・ヴァン・ダインやホープ側の家族は消滅していて。惨劇を取り戻す者と未来を守る者の対比がされているんですよね。
でも、僕らが知っているトニー・スタークは孤独でジョークを交えて、知識に貪欲。そして、失うことが何より怖い。タイム泥棒計画を聞いたときに、かつて目の前で自分を慕ってくれたスパイダーマンことピーター・パーカーを思い出していた。確か地球に戻ってきたときに、キャップに『lost kids』と言っていた。自分の報告よりも、ピーターのことが自分の気づかないレベルでかけがえのない存在となっていた。とてもキャップの目を見て言えないほどに。
試しにメビウスの輪を裏返し、理論を確かめるも正しいことが判明し、驚く。娘のモーガンが自身のことを「3000回愛してる」なんて言われたらもうただの親バカになりますよ。娘を得たからこそ、自分を愛してくれたり、慕ってくれるそんな彼を取り戻すチャンスがあるのならかけてみたい。ペッパーの後押しもあり、トニー・スタークは再びアイアンマンを身にまとう。
シビルウォーから長かった2人の仲直り
シビルウォーでの仲違いから、トニー・スタークの父であるハワード・スタークが作成したヴィブラニウムのキャップテン・アメリカのシンボルでもある盾がトニーとスティーブの仲直りと同時にスティーブに返還された。
ファンからしたら、とても長く待ち遠しかった。エイジ・オブ・ウルトロンからヒーローの活動が、市民への被害に繋がり、シビルウォーというヒーロー同士の争いに発展した。互いのすれ違いがやっと解消された。だからこそ、うやむな仲直りでない、彼らの握手が涙腺を壊しにくる。
家族というチームに
キャップとトニーの仲直りを境に集結するアベンジをする者たち。
ブルースとロケットが先述したアルコール依存症のソーに協力してもらうために、地球で生活拠点を得た新アスガルドに訪れる。車の荷台に乗って、移動するのが最高に可愛いし、BGMもロードムービー感溢れるのも良き。
そこでブルースがかつてラグナロクで自身を救ってくれたように、今度はバナーがソーを救おうと説得するんですよ。ソーは完全に立ち直ってはいないけど、少し乗り気でいて、同時にまだ「また負けたり、上手くいかないときはどうすればいいのか」という不安の姿も映っていて。そこにロケットがソーに「船に酒がある」とソーの背中を押してあげていて。ロケットは先述した通り、失うことにとっても敏感でそれを隠そうとする。そんな自分に似ているソーを気遣って言葉を選んでいたとこが、すごい人間できてるなって。アライグマなんだけれども。
これある意味では、かつてヨンドゥに孤独を隠す素振りを見抜かれたセルフオマージュでもあるのかもしれないです。
加えて、ロケットは技術力もあるので、タイムマシンの製造にもエンジニアとして、ネビュラやトニーと協力しています。特に印象的だったのは、トニーに「地球の天才科学者さん」と作業をしながら会話していて。そんな会話をするほどにロケットにとってトニーをはじめアベンジャーズの面々に信頼を寄せていて、グルートたちを取り戻すためのただのチームではなく、また家族とも言えるようなチームになっているのかなと思いました。
ブラック・ウィドウはアントマンが現れ、希望の光が見える前にアベンジャーズの面々を家族と呼んでいて。タイムマシン作成の過程を通じて、徐々にみんながチームという家族になっている。
ロケットからソーへのビンタ
各チームに別れ、インフィニティストーンを集めるアベンジャーズ。
ソーとロケットのチームは、2013年のアスガルドに訪れる。当時ソーと付き合っていたジェーンの体内にリアリティストーンが侵入し、それを取り除くためにアスガルドに訪れた際の時間軸です。
地球でのインフィニティストーン会議の際には、当時付き合っていたジェーンのことばかりが頭にいっぱいで、母親であるフリッガの命日であることを忘れていた。ソーは前とは変わってしまっただらしない姿もそうだが、たくさんの人やものを自身のせいで失い、高潔たる者ではないと自身を非難していた。
そんなこともあり、母親や彼女に会うことにとても臆病になっていた。
そんな弱音を吐露するソーをロケットはビンタする。
「俺は家族を亡くした…」とソーに問う。同じ家族を亡くした者同士で、ただでさえ素直に家族なんて冗談でしか言わなかったロケットが。あのロケットがガーディアンズオブギャラクシーのことを家族と呼んでるんですよ!!もうロケットにとっては代えがたい家族であって、救うためにも、そして同じような境遇であるソーを奮い立たせるためにも説得するシーンがまた泣いてしまって。ロケット、こんなに人のことを思うことができるなんて。ロケットが5年間の日々で、家族というものに対してとても大切なものだと感じている点が成長したなぁと…!
𠮟咤されたソーの目の前に現れたのは、母親であるフリッガが。フリッガはソーを見て、一目で自分が知る今のソーではないと見抜く。そして、ソーは母であるフリッガに自分が高潔でなくなり、アスガルドの王だからこそ、言えなかった感情を親に話した。
ソーはこの話すことが重要だった。
サノスの首を落としても、それは自分でなく、怯えた自分が逃げた結果だったことを話すことが再び自身を高潔な者に引き上げるために必要だった。またここで指す高潔な者とは、必ずしも一度も間違いを犯していないという意味ではない。間違いを認め、現状を受け入れ前に進むことを指すのだと個人的には思う。
だからこそ、太った姿であってもそれは雷神であり、マイティソーなんだ。それに応えるようにムジョルニアが再び握られるシーンはニヤリと笑ってしまう。
また個人的ではあるが、過去に戻っているということもあり、ソーはロキに会えることができたはずだ。それでもしなかったのは今の自分を見られたくなくて、兄だからこそ、常に威厳というか立派である兄という姿を見せたかったのではないか。だから、会わなかったのかなと思っています。
父になる男と父になった男
スペースストーンの回収に失敗したトニーは、キャップと共に1970年代に再びタイムジャンプを行う。当時スペースストーンを保管していたシールドとタイムジャンプに必要なピム粒子が同時に保管された場所であるからだ。
そこで、スペースストーンを回収するトニーの目の前に父であるハワード・スタークが現れる。もちろん、息子の未来の姿なんて生まれていないのだから、ハワード・スタークはただの同僚程度にしか思っていない。ただちょうどハワードの息子であるトニーが生まれる直前にタイムジャンプをしていたのだった。ハワードは未来の息子であるトニーに子どもを持つことについて話はじめる。
トニーはかつて、自身が父とのコミュニケーションに悩み、愛されていないと考えていた。
『アイアンマン2』にてマーク6のスーツを作成する際の自分宛のビデオメッセージに加えて、自身が子どもを持ったことにより、父に対しての感情は変わっていったはずだ。ただそれを伝える手段がなかった。しかし、今目の前には伝える気持ちも相手も目の前にいる。
娘に対する自分の愛情と自分をここまで育ててくれたこれから父になる若いハワードに、未来の息子である父になったトニーがやっと尊敬の念や感謝を伝えられたことは、トニー自身のアイデンティティをまた強くできたんじゃないかなって思います。
ハワードの助手がアイアンマンのAIのジャービスという名前という演出が憎い。
今作のサノスの描かれ方
ガーディアンズオブギャラクシーのピーター・クイルが惑星モルグにて、パワーストーンを盗みに入っていた2014年にタイムジャンプしたネビュラ。そこで2014年のネビュラと何かが原因で2023年の未来のネビュラと記憶がリンクしてしまいサノスはタイムジャンプに気づきます。やっぱりサノスがそのことに気づくと不安の感情が一気に増してきます。すごい嫌な気持ちになる。
でも、今作のサノス(2014)は、前のように悲願のためなら娘や自らの犠牲を厭わない信念がないんですよね。
未来から悲願の達成を知り、自らの命が亡くなることに気づいたサノス(2014)。だからこそ、欲が出た。自身が生き残った世界で好き放題したいと。今作の大戦前後のサノスの発言で、自身に反抗する全生命を消滅させるためにフィンガースナップを行うような旨のセリフを言っていて。
インフィニティウォーの際のサノスは、1/2に生命を整理することで、宇宙のバランスを取るという見ている側も共感ができる部分があった。だからこそ、サノスが主人公であったインフィニティウォー。
それを嫌な悪役に変化させたことが、倒す要因の一つだったのかもしれない。
今作では、私が絶対だ(I am inevitable)というセリフを首を落とされる前のサノスとサノス(2014)の両者が発言をする。
前者の意味は、信念を持って生命を1/2にする悲願を成し遂げた自分があるから、宇宙の平和が成し遂げられている訳で、仮に自身を殺そうが変わらない絶対なものという意味合いと考えました。
後者は、信念でなく私利私欲のために、全生命をリセットするという感情が込められたと考えました。
個人的には、前のサノスのような描かれ方が好きです。
その状態であるサノスを倒すことが一番良かった。サノスの大義そのものを打ち倒す意味も込められていると考えたので。でも、サノスを再び倒すには過去から持ってくる今回のパターンがベターだったのかなと。そのために全ての時間をリセットしたら、インフィニティウォーの戦いの意味もなくなってしまいますし。
アッセンブル ~どんなときも立ち上がる~
インフィニティストーンを使用したハルクのフィンガースナップにより、目的であった消えてしまった人を取り戻すことに成功したのも束の間、サノスの襲来。
過去からやってきたサノスは、BIG3(アイアンマン・キャプテンアメリカ・ソー)の力を合わせても、強大だった。遂にはキャップテンアメリカのシンボルである盾すらも半壊してしまう力を持つサノス。
加えて、ブラックオーダーのエボニー・マウと2014年ネビュラがピム粒子を複製し、チタウリやアウトライダーズの軍勢を率いて、タイムジャンプしてきた全体を見せるために引いたシーンは絶望だった。
【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』なぜサノスは◯◯◯◯できたのか ─ 素朴な疑問、ジョー・ルッソ監督が明かす | THE RIVER - Part 2
インフィニティウォーのエンディングもあり、ヒーローは勝てないんじゃないかなって。武器は壊れ、味方は倒れてしまった。絶望の感情が心を覆っていた。
でも、ヒーローは立ち上がっていた。
キャプテンアメリカになる前から、路地裏のブルックリンで喧嘩に巻き込まれたときも、ヒーローになってピンチのときでも、何度でも何度でも折れなかった。諦めないで、常に立ち上がる。
スティーブ・ロジャースは、ヒーローになる前からヒーローだった。いや、どんなときでも諦めない心があるからヒーローたる存在=キャプテンアメリカとして認められていた。最初から、変わってなどいない。
それに応えるように、「On your left」(左失礼)というサムことファルコンから通信が。
(『キャプテンアメリカ / ウィンターソルジャー』のスティーブがサムに言ったセルフオマージュ)
サノスのスナップによって消えてしまい、復活した人や生き残っているヒーローが、ドクターストレンジの空間移動(ポータル)により全員が集結した。見たかったシーンがやっと見れた。この11年間待ちに待って、待ちに待った展開がここで見れた。戻ってきたスパイダーマンやグルートの姿を見ると、涙が止まらなかった。僕も啜り泣きで、隣のおじさんも隣の女性も劇場全体から嗚咽が止まらない。
その時脳裏に、ホークアイことクリント・バートンがワンダことスカーレット・ウィッチに言った「1歩外へ出たら。君はアベンジャーズだ。」というセリフを思い出しました。ドクターストレンジのポータルから外に出たら、もうみんなが未来のために戦うアベンジャーズなんだ。あれだけの個性の塊みたいなヒーローたちが集まって、戦うのは最高です。
アベンジャーズが集結し、キャプテンアメリカの「Avengers.... Assemble.」が遂にここで聞けました。拳を強く握りしめ、泣きながら笑ってました。劇場の感情が一体化した最高の感動。今でもBGM聞くと泣ける自信があります。
見終わってから考えたのですが、「Assemble!」と叫ばなかったのは、やっぱりナターシャがいなかったり、犠牲があってこその集結だからなのかなと。
一作目『アベンジャーズ』ではキャプテンアメリカが好きでコスチュームデザインにも口を出したコールソンが亡くなっています。(実はドラマで生きている)
続編の『エイジ・オブ・ウルトロン』では、ピエトロ・マキシモフことクイックシルバーも命を落としています。
だからこそ、黙禱や祈りを込めたような口調だったと考えました。
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ヒーローに生きて、父に生きて
トニーは1400万605のルートのただ一つの勝利のパターンとして、 サノスとのゲームに自らの犠牲でピリオドを打った。人類のためはあるだろうが、父として娘モーガンがいる世界を守りたかったのではないか。
かつてアイアンマンになる前は武装ビジネスを手掛け、多くの富を。アイアンマンになってからは、現実を受け入れ、安全を常に追い求めてきた。
そして、タイムジャンプした際には、今の自分だから伝えられる思いを父であるハワードに伝えて。作戦当初は、本人の命も含めて守って、全てを取り戻すと考えていたが、父ハワードと話すことで自身最大の役目としては、父として何が何でも娘に降りかかる災厄は消すという覚悟が固まってしまったのではないか。
我らが知るトニーは常にリスクに対して最大のマネジメントをする。その結果として、何かあったときのメッセージ映像を残していたのだろう。
フィンガースナップの際に、「I am Iron Man 」私がアイアンマンだ。サノスに対してもあるが、自身の父として、ヒーローとしての役目を果たした。その後の妻ペッパーはそんな夫を死なないでと言うのでなく、休んでいいよと言うんですよ。心の底から、トニー・スタークを愛していたんだなということがそれだけで伝わってくる。
そして、今回の作戦を実行しようと考えた大きなきっかけに、もう一人の息子がいる。
それは、スパイダーマンことピーター・パーカーだ。
『スパイダーマン ホームカミング』では、父でないトニーと父がいないピーターが疑似親子関係のように互いに不器用ながらも関係を結んでいく。IWでそんな息子とも呼べる存在が目の前で消えてしまうのだ。前に進むために、悲劇を解消した作戦は成功し、戦場で彼を見つけたトニーはただ抱きしめる。前述でも書きましたが、トニーにとってピーターはかけがえのない存在なんですよ。またピーターもそれは同じで、今度は自分がトニーの命を見送ることになってしまうのですが、ヒーローとしても父親のように精神を支えてくれたことに感謝しているはずです。
だから、トニーはヒーローとして、父として変わり、生きることができた。

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今後のGotGについて
今回ガーディアンズオブギャラクシーは大きな変化があった。
僕らが知っているガモーラが蘇っていないこと。
ピーターはガモーラと感動の再開をするも、自身と共に時間を過ごした別世界のガモーラのためにやるせなくなる。だがラストシーンを見るとピーターはガモーラのことを諦めていないし、それでこそスター・ロードだろう。
ちなみにガモーラ(2014)は過去に戻ったのか、身を隠しているのかは不明です。
今後、三作目となる作品の撮影および公開が予定されている。
その辺りはどうなっていくのだろうか。
またロケットは一作目で本人がこぼした「俺は人よりも寿命が短い」というセリフを言っている。今回IWから5年が経過して、ロケットの寿命がとても気になってしまう。やっと素直に家族と言えるようになる居場所を見つけ、取り戻したのに今度は本人が亡くなってしまうなんで悲しいにもほどがある。ロケットはヨンドゥの葬式に続き、トニーの葬式にも出席して、また葬式をするなんて涙が枯れるほど悲しくなる。
なんとなくですが、作品に登場するに連れて、ロケットの顔周りの白毛がだんだんと増えているんですよね。エンドゲーム内でも2018年と5年が経過した2023年のロケットの顔周りだけを見ても白毛面積が増えていて…
人も動物も毛が白くなるのは、死に近づくことだから…
【2019年5月18日追記】
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』はロケットの物語の締めくくりになるそうです。この白毛の考えが当たってしまっているのなら、あれだけチームのことを家族と言えるようになって、ヨンドゥやトニー、ナターシャの死を経験して、今度はロケットがいなくなる可能性があるのは、あまりにも悲しい。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』は一作目から始まったロケット・ラクーンの物語の締めくくりに!ジェームズ・ガンはロケットと自分を同一視しており、一時解雇された時には自分でその物語を終わらせられないことに大きな喪失感を抱いていた…と語った https://t.co/hyXHJ1A9bc #HIHOnews
— 映画秘宝 (@eigahiho) May 15, 2019
アスガルドの王を辞め、自己を見つめ直し、思うがままに生きて見ようと旅をするソーはベネター号に乗船したので、もしかしたらアスガーディアンオブギャラクシーになる可能性も。
【2019/05/18追記】
恥ずかしながら、過去(2014)のネビュラが現在(2023)年のネビュラを殺したと勘違いしておりました。
2023年のネビュラが、それまでの冒険や恨みや憎しみを持っても、抱きしめてくれた姉を知らないガモーラに今度は、自分が2014年のガモーラに手を差し伸べてほしい。
惜しかった点
なんで最終決戦にニック・フューリーやS.H.I.E.L.Dは集合してないのか。
最初にアベンジャーズ計画をしたのフューリーがこのいい一旦の区切りになぜいなかったのか。トニーの葬式にいたなら、集合にもいて欲しかった。仮に復活直後の人たちのアフターフォローを担っていたなら、許せる。ただ、そのシーンや会話でそれとなく入れて欲しかった。
ニック・フューリーは、キャロルと地球に危機があるときは呼ぶと言っていたのなら、キャプテン・マーベルと共に戦う姿を見せて欲しかった。サノスの戦艦が地上に無差別攻撃をした際に、キャプテン・マーベルと共に複数のヘリキャリアで一緒に攻撃するシーン見たくないですか。
キャプテン・マーベルは今回何か困ったときのお助けキャラ的要素が強く、もっと見せ場があっても良かったのかなって。その強さと諦めないとこが個性でもあるのですが。個人的には、インフィニティガントレットリレーの際のスパイダーマンを守るために、女性ヒーローが集結した中心に、キャプテン・マーベルがいたのが新時代の幕開け感あって好きです。
キャプテン・マーベル単作についてはこちら
ソウルストーンの犠牲になったナターシャについて
個人的には、ホークアイことクリント・バートンは既に愛する家族を失っているから、ソウルストーンを手に入れることができるっていう解釈かなと思ったら、ガモーラと同じパターンで亡くなってしまって悲しい。
彼女も言ってたけれど、アベンジャーズというチームそのものが家族だったんですよね。インフィニティストーンの会議の際にトニーと寝転がりながら話していたのは家族でくつろいでいるようにも見えて。
今後のMCUについて
今回のタイムトラベルは、同じ世界に影響を及ぼすというよりも、ある事柄が変わった時点で別の世界が生まれるという解釈を現状しています。
ハルクとエンシェント・ワンが話していることから考えると、違いが起きるとその時点で異なる世界が生まれ、元に戻す(今回ならばインフィニティストーンを返す)とその世界の未来はなかったことになる。
MCU風にいうのならマルチユニバースというべきか。インフィニティストーンを過去からお借りした時点で、いくつかのパラレルユニバースが生まれた。例えば、ロキが2012年直後にスペースストーンを自ら使って逃げた宇宙。また今回のキャプテンアメリカでなく、ただの一人のスティーブ・ロジャースとして生きて再び作中で舞台となった
ユニバースに戻ってくる。しかし、生活をしていたユニバースは自分がいた世界でひっそりと暮らしていたのか、それとも違うユニバースなのかはまだ不明。もしかしたら、考察している人がいるかもしれないので、その辺りの情報あったら教えて頂きたいです。
どちらにせよロキやキャプテンアメリカを引継いたサムとバッキーの物語をディズニーデラックス(ディズニーの動画配信サービス)で展開していくのだろう。
直近としては、『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』で今後の展開が示唆されるかもしれない。
初期アベンジャーズの大半がいない状態なため、新たなアベンジャーズが結成されるのだろう。これはエンドゲームを含めると20作品を超える超大作と言っても過言ではないため、一度リセットをして新規参入がしやすい環境を整えるという意味も含まれいるのかもしれない。
総括
振り返ると長い旅だった。でもあっという間に一旦の区切りの終わりだった。まるで作中のピム粒子でタイムジャンプしているように。
今回は至るところに過去作品のオマージュや繋がり、成長がみられるという見る人によってフォーカスする部分が無限は言い過ぎだが、多くある。それでも、ファンが見たいシーンを必ず抑えて、それを超えてくる驚きには脱帽です。キャプテンアメリカがウルトロンのときからまだかまだかと思っていたムジョルニアを持つシーンはドーパミンがめちゃくちゃに放出していた。
今回は、GotG視点=変化や家族という視点を中心にエンドゲームを自分の中で振り返りました。その他の詳しいことや全体のことについては僕以外の素晴らしい方が書いてくれるので。やっぱり今まで積み上げてきたものの成長や変化を見られるのは、連作ものの醍醐味の一つなので。僕がロケットを推しているということもあり、色眼鏡なしにしても、今回は大成長したと思います。
セルフオマージュも多くて、ニヤリとするシーンが多かったのも印象的でした。ウィンターソルジャーのエレベーターのシーンから、原作コミックの「ハイル・ヒドラ」を持ってきたりだとか。1970年代に飛んだ博士の部屋のアントマンのプロトフェイスが原作コミックに寄せていたりだとか語りきれないぐらいあるんですよね。
戦闘シーンもBIG3の連携やマーク85とソーの雷撃を利用した攻撃やペッパーとトニーのスーツだったりと、目まぐるしく展開される。圧倒的エンタメ映像で僕らをぶん殴ってくるのが最高です。
最後に、○○は帰ってくるでなく、アイアンマンの鉄を叩く音が6回鳴りました。恐らく、初期アベンジャーズに向けての敬礼や感謝の音のようで。「ありがとう。アベンジャーズ。そして、これからもよろしく。アベンジャーズ。」感謝とまたユニバースへの旅に出る僕らの物語は続いていく。
