【感想】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』 我々の大いなる期待には責任が伴うのか

世界から一か月ほど遅れてからの公開となった『スパイダーマン:ノーウェイホーム』

予告での過去作品のサムライミ版『スパイダーマン』からはドクターオクトパスやサンドマン、グリーンゴブリンが登場。『アメイジング・スパイダーマン』からはリザードやエレクトロがトム・ホランド演じるスパイダーマンのMCU世界に介入をしてくる。

 

僕らは否が応にでも期待せざるをえない状況となり、2021年での先行上映試写会では想像以上の募集があったように思える。当選した方は1名を無料で同行できることもあり、中には3000円~10000円で募集をかけている方もいました。

Twitterでも関連ワードをミュートにするなど各自衛が求められた状況でもあった。

(日本上映が遅れたのは入場特典であったカレンダーのせいとか、いろいろ表出できていない問題があるようだが、エンドゲームのように同時公開達成をして欲しかったのは僕だけだろうか)

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僕自身の上映経験がMCU上映作品(ディズニー+独占配信含める)や2000年前後から始まったスパイダーマンの実写上映作品は見ていたこともあり、その流れも書いていければなと。

※『エージェント・オブ・シールド』やカーターは見ていないです。

前置きはこれぐらいにして本作品の一番の突っ込みたいとこを書いていきたい。

 

 

以下からネタバレ内容を含みます。ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本作品でもメイ叔母さんを殺す必要はあったのか

 

ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)

以下、トビースパイダー

ピーター・パーカー(アンドリュー・ガー・フィールド)

以下、アンドリュースパイダー

ピーター・パーカー(トム・ホランド)

以下、トムホスパイダー

 

スパイダーマン2 (字幕版)

スパイダーマン2 (字幕版)

  • トビー・マグワイア
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彼らの共通点や後半のカタルシスに向けて必要だった布石だったようにも思える。

「大いなる力には大いなる責任が伴う」というスパイダーマンのテンプレートを三人が共感し、トムホスパイダーマンを慰めるための物語運びのように。

 

メイ叔母さんが死ななくて良いのではという考えに至った根幹には、トム・ホランド演じるスパイダーマンがとても好きなのだ。

一人の青年とも言えない彼が苦難し、日常とヒーローの二足の草鞋を履く姿は今まで以上に親近感がわき、応援したくなる気持ちが強かった。

 

彼の大いなる責任の取り方は、彼が自身で選択した周囲がスパイダーマンの正体であることを忘れさせることだけで良かったと僕は思う。

 

そうすればわざわざメイ叔母さんを亡くならせることでなくMJやネイドのように元気に過ごしている姿を見て、彼らが元気にやってるからこそ、また親愛なる隣人として日常を守るヒーローとしての最後のシーンにも説得さと爽快感がより強くなるはずだ。

 

二人の別世界のスパイダーマンがグリーン・ゴブリンの爆弾から身を守る方法で、共闘のきっかけとなっても良いはずだ。

なぜなら今作はヴィランの敵サイドも含めて、彼らが過去で救えなかった人や後悔の念を少しでも取り除くことにもスポットが当てられているからだ。

 

トビースパイダーマンでは助けられなかったオクトパス(オットー)とまた会話ができたことに加えて、サンドマンを救うことができた。

更に親友の父であったグリーン・ゴブリンのグライダーで突き刺さる悲しき運命から自らの身をもって、回避させた。

 

アンドリュースパイダーマンではリザードを元に戻した。エレクトロに対しては謝罪することのコミニケーションまで可能となった。

そして、彼の世界では救えなかったMJを今度は自らの手で助けることができた。

彼の顔の表情からMCUのMJではなく、グウェイン・ステイシーの姿が重なっていたであろう。

 

救えないはずだった自分と敵も含めて救済する粋な計らいをするのなら、MCU世界のメイ叔母さんを殺す必要はないと思う。日常の顔とヒーローの顔を持つスパイダーマンは、必ずしも犠牲がなくてはならないという我々の大いなる期待を跳ね返してでも、両者を全力で実行するスパイダーマンがいてもいいじゃないか。

(もちろんトムホスパイダーマンのバルチャーやミステリオが引き起こした出来事も少なからず責任はあるかもしれないが、その全てを背負うにはあまりにも前時代的というかなんというか…)

 

メイおばさんが死なないスパイダーマンがいたっていいじゃないか。それにトニーの死を経験しているトムホスパイダーを曇らせないであげて・・・
あの苦しむ姿を僕らは3回見たのだぞ。

 

 

 

 

3つのユニバースが混ざり合った三重奏

やはり本作にトビースパイダー作品やアンドリュースパイダー作品とのミックスな表現はファン心をくすぐった。挙げればキリがないため、3つを紹介したいと思う。

 

1. 彼らスパイダーマン同士の会話

トビースパイダーマンがウェブシューターなしで糸を放出していることに驚く二人や宇宙生命体や宇宙で戦えてないことにいじけるアンドリュースパイダー。

僕らが思い描いた会話のやり取りを公式側が二次創作を作成するような変な感覚を抱いた部分もあったが…。

見たいものは見て嬉しいです。

 

2.夜を背景に立つ3人の親愛なる隣人

あれはもう、エンドゲームのように「アッセンブルはやっぱりあるよね。」という我々の期待を悠々に超えるカッコよさで演出していた。チーム戦をスパイダーセンスでまるで昔から戦友のように徐々に連携が決まっていくシーンにはニヤニヤが止まらなかった。

 

3. オットー・オクタビアスが優秀すぎる 

サンドマンとの共闘もあったが、オットーが優秀過ぎて彼の演技もさることながら、各ヴィランの中間管理職的な立ち位置だった。

 

最後に

本作品は3つの世界がコラボしたら見たいものを見せたよという感覚。
もしも…したらというディズニー+で独占配信している実写版の『What if』なんだよね。しかも同じユニバースでも異なる時間軸から引っ張ってきてるとこもオタクの面倒くさい辻褄も基本的には齟齬がない。

恐らく、トビースパイダーマンユニバース・アンドリュースパイダーマンも今回の救出で分岐した世界線が生まれているんだろう。

 

何より一人の青年として、スパイダーマンという君を忘れないよ。

またどこかで会おう親愛なる隣人よ。

 

P.S

恐らくソニーユニバース側でヴェノム君とコラボするだろうからね。

We hope return Spidermans.

   
 

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