【感想】 小説 仮面ライダーエグゼイド  マイティノベルX

マイティノベルX! 

上級(オタク)プレーヤーに送る新たなゲームが今作における小説です。

 

TV、映画、Vシネマ、Blu-ray特典映像、トークショーにおけるヒーローショーまで、あらゆる媒体での「仮面ライダーエグゼイド」を触れた者に推奨される小説です。

まるで最初から、小説を想定したかのように設定の齟齬がない感覚を受けるため、脱帽しかない...!

 

本作は、エグゼイドでもテーマの根幹をなしていた「生命」について、ドクターとして、宝生永夢たちの立場からの視点を体験する作品になっています。

 

 

「仮面ライダー」という小説であることから、戦闘描写にも本編、映画に引けを取らない、むしろエグゼイドを知っていれば、知っているほど、戦闘が脳内でエキサイトする。小説だからできた表現、だからこそノベルである強みだと感じる。

読書後には「エグゼイドを見ていて良かった。」と思える作品です。

 

マイティノベルXのネタバレ感想をプレイしますか?

 

YES・・・・・・スクロールする

NO・・・・・・そのままブラウザバック

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 檀黎斗と宝生永夢の終わりなきゲーム(医療)と感じた。

 

 それは本編でも対比されていた檀黎斗と宝生永夢の比較が、本人たちの家族という新しい一面を取り入れ、深く掘り下げられた作品だからであると感じた。

 

今まで、宝生永夢の明かされたことのない過去が明かされる。それは本人自身すらも自覚していない、禁断の箱であり、その禁断の箱を自らの復活の為に利用し、自らの才能を試すゲームの一つとしたのが檀黎斗である。

 

 彼らにはゲーム、心の純粋さ、親との一般家庭とは異なる関わり合いをはじめとした似た部分を持っている。しかし大きく、異なる部分がある。

 

それは「理解」だと考えた。

 

自分と言う存在を理解するのには、人が必要であり、作中でも比較されていた

  

理解者がいない天才=檀黎斗

 

理解者がいる天才=宝生永夢

 

そもそも、彼らはゲームというコンテンツを通じて交じり合った。

(幻夢コーポレーションに永夢が新たなゲームアイデアを送った)

 

前者は自分を超えた橙と翠の二人のアクションゲーム、アクションとパズルの力を使う兄弟、極限とまでいえる強化装甲に乗り、敵を倒し、流星の如く無敵なキャラが敵を倒すゲームのアイデアによる屈辱。

後者はそのことにより、世界で初めてのバグスターウイルスの感染者となったこと。

 

当初は檀黎斗にも理解者がいた。

しかし唯一の理解者でもある母も病気にて亡くなってしまう。

 

そのため、彼には誰も理解者がいないことに加えて、彼自身が周囲の評価に何も関心はなく、あるのは才能の表現のみであった。

 

そこから、檀黎斗の本編やVシネマでも明かされた数々の計画や、仮面ライダークロニクル、ゾンビクロニクルといった己自身の才能を試し、遊んでくれるゲームプレイヤーを求め続け、生命の定義そのものを彼なりの定義をドクターたちに突き付けてきた。

 

www.amazon.co.jp

 

 

檀黎斗はバグスターを新たな生命だと認識

檀正宗はバグスターを生命と認識しておらず、妻の櫻子のバグスターであるポッピーピポパポを自らの妻と認識はしていなかった。(エグゼイドトリロジーにて)

 

対する宝生永夢は檀黎斗と同じく、バグスターを新しい一つの生命として認識をした。しかし、そんな医者でもある永夢ですら、自分の命をリセットしようとしていた経験がある。それもゲームのように何か強い感情やきっかけがあった訳でもなく、ただコンテニューボタンを押す行為をするように。

 

今作の根幹にもなったバクスター感染前、そして感染後の交通事故前までは、命もゲームと同じで、ダメになったなら、コンテュニューできるものだと思っていた。「命はひとつしかないこと、死ぬのが怖い」ということを思い知る。

 

永夢の父の宝生清永は2000年問題という問題解決のため、奔放していたところ、バグスターウイルスを生み出し、檀正宗と医療機器のゲーマドライバーの開発やウイルスの生みの親である弱みを握られ、永夢をネクストゲノム研究所の実験に渡した。そしてそのことを世間にも永夢にも明かさずにいた。互いに家族の関係が空虚な何もない関係が続き、雨の日の自殺未遂の事件をきっかけに、一人は息子のCRでの活躍を見ないようにし、一人は親に関することに触れられないように過ごしていた。

 

 

www.amazon.co.jp

 

 

マイティノベルⅩを通じ、互いに思っていた自殺した理由やバグスターウイルスの生みの親だったという事実の確認を互いに曲がりなりにも理解ができた。

 

一方の檀親子は本編でも黎斗から父親ではないという発言やエグゼイドトリロジーを通じても互いの関係の溝を埋めることができず、黎斗のゴッドマキシマムXにより、檀正宗はゲームオーバーとなり、理解はされないままとなってしまった。

 

 そんな檀黎斗を理解し、いつかは本当の笑顔にするための心療を行う者が宝生永夢である。

 

「ただ身体を治療するだけじゃない。心から笑顔になれることが健康の証である。」と永夢を救った日向恭太郎の考え方を本編でも患者以外にもドクターや様々な人を笑顔にしてきた。これからも数々のゲームを作り、挑んでくる黎斗をいつかポッピー、飛彩、大我、ニコ、貴利矢、パラドらの輪にいるいつかの未来のため、宝生永夢の医療(ゲーム)は続いていく。

 

f:id:boku-shika:20180706200415j:plain